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ブログ「あしあと」

GW旅⑤ イエルカさん

旅5日目。

朝起きて、宿の周りを散歩。

前日の予報では、この日も雨だったのに。

奇跡的に晴れてくれました。

せっかくお義母さんたちと八ヶ岳に来たのに、散策できなくて残念…と思ってたのが、嬉しいサプライズです。

朝食を宿でいただき、しばし遊ぶ。

欧風の宿で、ピアノなんかもありました。

10時頃まで宿でゆっくりし、チェックアウト後、ちかくにある「萌木の村」をいうとこを散策しました。

いい感じにランドスケープされた、ひとつの村のようになった、広場や森やお店が合わさる場所でした。

ろくたくんは乗り物が大好物。

ぶいーん。

なんか森のメリーゴーランドなるものもありました。

お土産を買ってもらえなくて、ちょっとふてくされてるなっちゃん。

午前中いっぱい、ここでのんびり楽しみ、お昼ご飯にほうとうをみんなで食べ、小淵沢の駅にて、お義母さんたちとバイバイしました。

今度東京に帰省できるのは、お盆かな?

今回は、1泊だったけど、一緒に旅行できて、良かったです。

さて、そのあと僕らは、山梨県から長野県の上伊那郡ところへ移動。

今僕らがおこなってる家づくりで検討中の、薪ストーブを作られている、イエルカさんを訪ねます。

上伊那郡の山奥に入っていくと、15時ごろ、無事に辿りつきました。

イエルカさんの、お家&工房に。

ほんと山の中にぽつんとある、築200年のおうち。

イエルカさん夫妻は、20年前、この家を自らの手で改修し、以来暮らしているそうです。

イエルカさんの薪ストーブが魅力的なのは、ストーブのデザインや性能、価格といったところにだけあるのではなく、イエルカさんと、奥さんの悦子さん二人の考え方や暮らしぶりも含めて、魅力的なのです。

その暮らしの中で生まれた薪ストーブだからこそ、魅力的なんだと思います。

そのお二人の生き方に共鳴・共感した人が、イエルカさんの薪ストーブを、そしてイエルカさんと悦子さん夫妻にお会いすることを求めて、ここにやってくるんだと思います。

僕も、ネットでイエルカさんと悦子さん、そして薪ストーブのことを知り、これはぜひに、お会いしてみたい、薪ストーブを見てみたいと思い、この日に至るわけです。

ネットで見ててなんとなく認識してはいましたが、知る人の中では結構有名なイエルカさんの薪ストーブ。

この日も、僕ら家族の他にも、薪ストーブを求めてここにやって来たご家族が、2組。

みなさん僕らと同じくらいの子どもたちがいるご家族で、どちらも、現在家を計画中・リノベ中だそうです。

1組は茨城のつくばからで、1組は静岡からいらっしゃってました。

みなさん、イエルカさんの薪ストーブに惚れ込んで、これしかない!!という思いで、ここを訪れたようです。

それぞれ順番に、イエルカさんと打ち合わせをしてました。

ありましたよ、ありました。

打ち合わせをしてるお部屋に、イエルカさんの薪ストーブが。

この佇まい。シンプルで、無骨で、柔らかくて、可愛らしい。

僕はとても好きです。

イエルカさんの薪ストーブには、ほとんどのものにオーブンが付いてます。

これは、一番大きなタイプで、「大梅」と名付けられたものです。

今日も雨で寒い日で、この薪ストーブがポカポカとお部屋を暖めてくれてました。そしてその火の入ったオーブンで、悦子さんが、お餅やスコーンなど、次から次にいろんなものを焼いて出してくれます。

お二人の愛犬のイマくん。

ひとなつこい、かわいいわんちゃんでした。

ごめんね、目が光って怖い感じに写っちゃった。。

大人たちが話してる間、子どもたちはみんなで集まり遊び、保育園状態。

玄関には、イエルカさんが焼いた、陶芸作品が並んでいました。

ほんと、雑多になりがちな田舎暮らしなのに、ほんとにいろんな場所・物が、きれいに整頓・掃除されてる。

イエルカさんと悦子さんの、丁寧な暮らしぶりが、ありありと感じられます。

僕はタイミングが合わず見れなかったのですが、嫁さんたちが合間に、別の部屋にある悦子さんの工房を、見せてもらったそうです。

悦子さんは、主にヤギの毛で織物をし、絨毯などを作ることを、生業としているそうです。

この地での丁寧な暮らしと、手仕事である織物。

とてもしっくりと馴染んでいると、思いました。

とてもおおらかな雰囲気を持つ悦子さん。

こどもたちも、すごく可愛がってもらいました。

後でお二人から色々とお話を聞くのですが、これまで、自分たちの人生・暮らしを切り開くために、いろんな経験をされてきたそうです。その厳しいけれど、地に足のついた逞しい経験が、優しさや落ち着きとしてにじみ出ているような、そんな人でした。

さて、肝心のストーブと工房も、みんなで見せていただきました。

イエルカさんが作る薪ストーブは、それぞれ少しずつ違う特徴を持った、いくつかの種類があります。

それぞれの家や暮らしぶりに合った薪ストーブはどれかな…と、イエルカさんと話しながら検討していくわけですが…

僕らに合いそうな薪ストーブはこれ、「桃」という名前のついたストーブです。さきほどイエルカさんちの室内で見た「大梅」とフォルムは似ているけど、大梅よりも少し小型のタイプのものです。

でもオーブンはとても大きく、使いやすく、火の回りもとてもいいそうです。冬場はこの薪ストーブを、日々の調理のメインにしたいと思っているので、オーブンの重要度はとても高い僕ら。

そこでイエルカさんが進めてくれたのが、この「桃」だったのです。

燃焼室も、とても広々。60cm弱の薪も、縦に余裕で入るそうです。

ただ、円形で奥行きもあるぶん、僕がすでに家の屋根に通している煙突へは、まっすぐ繋げないかもしれない。

どうしようか、少し途中で角度をつけようか、でも真っ直ぐが絶対にいいという認識がある。

煙突位置をズラすか…。

それとも、真っ直ぐに煙突がつなげるフォルムを持ったタイプのものにするか…。

ちょっと、検討したいと思います。

ひとしきりストーブを見せてもらったあと、もう一度部屋に戻り、打ち合わせの続き。

僕らは到着が一番最後だったため、順番も最後。

先にお話しを終えた方たちは、順次、挨拶をし、帰られていきました。

なぎちゃんも、いろいろとストーブの使い方について、教えてもらってました。

ひとしきり説明を聞いたり、打ち合わせをした後、お茶を入れてもらって、お二人とお話しさせてもらいました。

結果的に、順番が一番最後で、良かった。

このときのおしゃべりが、とても盛り上がり、白熱し、楽しく、気付けばかなり長い時間、話し込んでいました。

お二人のこれまでの道のりや経緯を、聞きました。

イエルカさんは、チェコの生まれで、若い頃から、理想の生き方を探っていたそうです。

その追求の中で日本でも、様々な人に出会い、お世話になってきたそうです。(自然農法の、かの有名な福岡正信さんにも、お世話になったことがあるそうです。)

悦子さんと出会い、山の中で自然と共に行きたいと願い、この地で暮らし始めたのが、30数年前だそう。

そのときは、現在の場所とは隣村にあたるところだったそうですが、10年くらいだったかな?経って、今の場所に移ったそうです。

当初から、イエルカさんは、一番大事なのは、「自分で自分の食べ物を作りたい」、ということだったようで、僕の思いと、一緒でした。

以来、ほんとうに様々なものを作ってきたそうです。

食べ物だけでなく、なんでも生活に必要なものは、自然のものから、自分で作り上げようと、ストイックに生きてきたそうです。

件の薪ストーブも、その暮らしの中で、自分の作った麦で、パンを焼きたい。。という思いから、生まれたものなんだそうです。

その当時のことを振り返り、悦子さんは、当初はとても大変だったようで、もう…無理…、と思ったことも、何度もあったそうです。

でも、「今になって思うと、それで良かった。」

「それを経験してきてある今が、一番良かったと、今は言える。」

という言葉が、とても印象的でした。

同時に、なんだかとても安心したし、勇気をもらいました。

でも、必ずしも喜々としてこの道を歩んできたわけではなくて、何度も挫折しそうになりながら進んできたという経験は、なぎちゃんにとっては、とても共感できる部分だったようで、その意味で安心したようでもありました。

「男は理想ばっかりで突っ走るからね。女性はもっと現実を見てしまうもの」

という悦子さんやイエルカさんの言葉には、うんうんと、大きく頷いていました。

他にも、僕が持ってる経済やお金の捉え方についても、悦子さんは、

「私たちも似たようなことを思ってきたけど、私は今は、お金はエネルギーだと思ってる。正しく回せば、それ自体は忌むべきものじゃない。と、今は思う。」

と言って、ある意味、僕を悟すように語ってくれました。

そんな感じで、普段僕とのやりとりで、なぎちゃんが抱えている言葉にし切れないモヤモヤを、悦子さんがことごとく代弁してくれるみたいで、

「ほらね、見てみなさい」

って、感じで、なぎちゃんがニヤニヤと僕を見てきました。

嫁さんを溶きほぐしてくれるような、実体験から来る悦子さんの言葉を聞けて、嫁さんにとっては、すごく良かったんじゃないかな、と、僕は勝手に思ってます。

(僕もそれは、納得する部分はあります。お金というエネルギーを、正しく使える人ばかりなら、何の問題もない。でも現に、お金が絶対的な価値を持ってる今の資本主義の仕組みの中では、お金を出来るだけ得ようとする行為から、搾取が生まれ、格差が生まれ、その中で適応できない存在ほど苦しみが生まれ、お金でなんでも交換できる = お金さえあれば交換できるものは無限にある、という錯覚から、浪費が生まれ、未来へ行けば行くほど、そのツケを受ける危険性がある。そういう問題が、日々生まれてる。

一概に言えることではないし、世の中には素晴らしいこともいっぱいあるとわかっているけど、その素晴らしさを持続させて行くためには、

違う土俵に移行しないと、世の中は行き止まりになってしまうという思いは、まだあります。

それが単に、お金が無くなればいい、という端的に表現できる類のものじゃないというのは、僕にもわかります。たとえ手段が変わっても、人の心持ちが変わらないと、もうちょっと、他を思いやれる心、が前面に出てこないと、結局は解決しない問題だと思います。

僕は、その違う土俵の構築の糸口として、人ひとりの生き方 = 自分の暮らし方を、納得できるものにシフトしようとするこれまでの姿勢は、これからも続けていくつもりだし、その姿勢が僕の中で、自分に偽りなく生きることの、根本でもあります。でも……)

イエルカさん、悦子さん二人とも、こう言います。

「一番大事なことは、楽しむことだよ」 と。

ほんとに、そう思います。

それは自分だけじゃなくて、縁あって一緒に生きることになった、嫁さんや子どもたち、みんなにとって、楽しく、豊かである道でなくてはいけない。

だから僕は、こうも思います。

絶対に崩したくないのは、前述した「姿勢」の部分であって、

自分が生きてる間に、理想とするものをどれだけ達成できるかは、ある意味、二の次なんだ。と。

出来るだけ理想を達成して、子どもたちや、孫たち、その先の世代になるべく負荷をかけないようにしたいという願いはあるけれど、

同時に僕たちは、今を生きています。

たとえ他や未来を思っての行動であっても、

その結果今をないがしろにしてしまうようでは、それはやっぱりちょっと、違う。と思う。

(僕は、その追求 = 生きがい・充実・楽しさ にかなり近いとこにあって、その追求さえしてれば満足、だったとしても、)

今の世の中や、嫁さんや、子どもたちは、必ずしも同じ立ち位置・視点ではないことも、理解しているつもりです。

だから、みんなが、楽しく・笑って暮らせる落としどころをキープしながらも、それが崩れない程度で、現状から、ちょっとずつちょっとずつ、理想に近い位置にシフトしていく。

それで結局、僕の人生が、理想の2%しか達成できなくて終わっても、それこそそれについては、「しょうがない」と思えるのです。

2%でも世界は傾いたのは事実だし、もしかしたらそれを誰かが引き継いで引き継いで、何百年後には、100%を達成しているかもしれない。

その一端を、担えただけで、僕は気持ち的には満足です。

同じ「しょうがない」でも、

「今の世の中、こういうもんだから、問題はあってもしょうがない。今に合わせて、生きようよ」

と思って、同じ場所にとどまることと、

「今の世の中、こうだけど、それでもあきらめずに、シフトを試みていきたい。その結果、全く変わらなくても、それはそれでしょうがない。」

とするのでは、結果同じとこに辿りついたとしても、全然違うことだと思います。

可能性で言えば、前者はゼロだけど、後者には可能性がある。

僕は、後者の姿勢を貫くことに、信念を持っていたいんです。

何度もいいますが、結果は二の次。

大事なのは、縁あって一緒に生きる人たちと、笑顔で人生を全うし、でもその内には信念を持ち続け、少しだけでもその信念を具現化していく努力を、続けること。

でも、僕は、僕が思う理想へ向かう行為は、= 楽しさや笑いとは掛け離れること、とは思っていません。

急激に行こうとすれば、それはイコールとなってしまいますが、

ゆっくり、びっくりしないように、慣れるようにその道を進んで行けば、行けば行くほど、楽しさや笑いは、増してくるものだと、そう信じています。

この日悦子さんが言っていた、

「最初は、大変だった。でも今は、それで一番良かったと言える」

という言葉が、何よりの光です。

イエルカさんという、僕と同じような考えを持った先輩と、

悦子さんという、当初なぎちゃんと同じような感覚だった人が、

今こうして、二人で素敵な暮らしを、営んでいる。

その事実が、何よりの光だと、僕は思います。

「僕らはこれまで、自分たちの信念に従って、必要なものを自分たちで作り、暮らしてきた。その中で作ったものが、だんだんと、人様に必要とされるようになり、僕にしても悦子さんにしても、今こうして、人様に物を作るようなことをしている。だから、気付いたら、薪ストーブ屋さんみたいな今になってた感じ」

と、イエルカさんは言っていました。

ああ、ほんと、理想だなと、思います。

ほんとに、もっともっと話していたかったけど、イエルカさんたちのご予定もあるので、18時半頃、おいとまさせて頂きました。

(ほんとは17時半ごろから予定があったらしい…)

薪ストーブについては、これから連絡を取り合いながら、ゆっくり考えていこうと言ってくれました。

最後に、イエルカさんが見送ってくれるとき、

「キミタチ、カガヤイテルヨ!!」

と、言ってくれました。

ほんとに、勇気をもらえました。

余韻にひたりながらも、付き合ってくれた子どもたちに感謝し、とりあえずお風呂に入りに行きました。

今日のお風呂と宿泊場所は、イエルカさんちから車で20分くらいのとこにある、飯島町というところ。

「陣屋」という旅館で日帰り湯に入り、

「道の駅 花の里いいじま」というところで、車中泊。

今日は、とても感慨深い日でした。

さて、明日は今度は、北へ。一路石川県は金沢市に向かいます。

僕の東京時代の先輩に会いに行きます。

とても、楽しみです。。

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