小挾間村の大仕事1
6時半みんな起床。
朝ごはんは、パンとシチュースープ。
今日は、僕の住む小挾間村での、年に一度の大仕事の日です。
明日日曜日と合わせて、計2日間行われます。
村ではこの日のことを、”春区役”と呼び、
内容は、田んぼに使う水路の掃除と補修。
通称、”ぬきかき” と ”つくろい” です。
水路と言っても、田んぼの脇を流れているような、ただの水路ではありません。それの大元。
山の中の水源から、村へ降りていくまでの、山の中にある水路を掃除するのです。
その水路が、半端ないのです。
村の人が言うには、江戸時代に作られたシロモノらしいのですが、
山奥の川からの取水口から、山肌をくり抜き、トンネルが掘られ、相当な距離を村まで続いていく、水路があるのです。
”ぬきかき” というのは、その水路に存在するトンネル、通称 ”ぬき” の底に溜まった泥を、クワで掻き出す作業。
”つくろい” というのは、水路の所々にある、しっくい(粘土と石灰と水を練り混ぜたもの)で固められた場所を、補修する作業。なのです。
僕は今年で三回目。
いつもこの日の様子を写真に撮りたいなと思うのですが、時には胸くらいまで水に浸かるので、カメラも携帯も持っていけません。
ネットから引用させてもらうのですが、雰囲気的にはこんな感じです。
結構サバイバルな山の中を進み、おもむろに山肌を削って作った水路が現れます。この写真は大きいけど、実際はもっと小さいです。
言葉だと説明しづらいですが…
山の中は迷路みたいで、でもそこにルートや場所の名前がきちんとあって、年配の方はそれをキチッと把握されています。僕はもう、まだなにがなんだか。。ただただ見失わないようについていくだけです。
こういった山肌(というか岩肌)をくり抜いて作られたトンネル。
これを、幅70cmくらい、高さ80cmくらい(たぶん)、人が腰をかがめて肩をすぼめて、やっと通れるくらいの大きさで作ったもの。
それが”ぬき”。
この中を、クワを持った男たちが一列に並んで入っていき、後ろ向きに下がりながら、足元に溜まった土や砂や石を掻き出していきます。
そして流れを良くするのです。
水路にはところどころ水量をコントロールするための横穴が作られていて、そこを板で塞いだり開けたりして、水の流れを制御します。
(この横穴や板の補修も大事な仕事。それは明日の”つくろい”の時にやります。
ぬきかきをするときは、一時的にその横穴から水を逃し、水量を少なくするのですが、それでも場所によっては太ももくらいまで水に浸かります。腰をかがめるので、時には胸まで浸かるときもあります。
4月の山水は、まだとてもちべたい。。
最初はシビれてきますが、だんだんと慣れてきます。
そんな作業なのですが、
僕が住む小挾間村は、この山から引かれる水路の、一番上に位置する集落です。だから、この山に入ってぬきの手入れをするというのは、代々、小挾間村の大事な仕事だったようです。
それゆえ、昔はこの村に特権的な権限というか威厳があったのも事実らしくて、立場的には下流の集落より上だったようです。
今はもう、全然そんなことは無いのですが。
ともあれ江戸時代に作られた大事な水路。米どころである地域の大事な資源です。これが途絶えてしまうと、米づくりが用意ではなくなる。
年々、人員も減り、高齢化もしてきて、手をかけられる度合いも減ってきているようです。でも、若い人がきちんと受け継ぎ、途絶えることのないよう水を運べるように、手入れしていきたいと思っています。
今日は15時半まで作業。
帰ってまずはシャワーを浴び、そのままついでにお風呂を洗う。
16時45分嫁さんととろくちゃんとなっちゃん帰宅。
夜ごはん タケノコと人参の炊き込み御飯、お刺身、だいこんの味噌汁。
夕食後、なっちゃん恒例の少しDVDを見る時間で、今日はもののけ姫を見てて、こわい…と言っていました。
お風呂に入り、21時みんな就寝。
明日も引き続き、水路の仕事です。